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家族経営からの独立
小野寺:初めてお伺いしましたが、 照明もオフィス家具もオシャレで素敵なオフィスですね。ブログのお写真では拝見していましたが、今日は実際にこの空間でインタビューさせていただきとても嬉しく思います。200年住宅「HABITA」への取組みをはじめ住宅の設計・施工が現在メインの事業でいらっしゃいますが、創業当時から今のような事業を展開されていたのでしょうか?
山田(H): いいえ。もともと祖父が京都で3番目に古い水道屋さんをしておりまして。私自身は若い時、設計事務所で働いておりました。設計の仕事をずっと続けていきたかったんですけれども、家庭の事情で兄と家業を継ぐ事になりました。当時は、家族経営でガス・空調を含んだ設備工事業を営んでおりました。
中井:では家族経営から独立に踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか?
山田(H):はい。自分なりに働くということが分かってきて、結婚して5年が経った頃、33歳の時に大腸ガンを患い生死をさまよう経験をしました。先生からは「五分五分の確率。」と言われました。恥ずかしい話ですが聞いたときは、3日間泣きっぱなしでした。でも人間ておもしろいもんですね。それ以降パタッと開き直って、今こうして生きているんだし、できることすべきこと全部やりきったろ、と決意しました。起業に踏み切ったのもこのときでした。
そして、再発という可能性をかかえながら仕事をしていると、自分の存在意義というか自分だけではとどまらない人の役に立っているかという視点が強くなりました。
山田(T):そうやったな。いろいろ苦労もありました。
小野寺:ご病気をきっかけにして起業に踏み切るそのエネルギー、山田さんだからこそだと思いました。流体計画という企業名もこの経験と関係があったりするのでしょうか?
山田(H):流体計画という企業名は、いろんな想いが込められていますが、発想は「流体力学」からきています。「流体力学」は液体と気体の総称「流体」の運動を論ずる学問で、その流れは目には見えません。「家」も似ていて、お客様が頭の中でイメージされていることを私たちが形にして造り上げていきます。
お客様が潜在的に望まれていたことを私たちが引き出し、それを目に見える形で実現できればお客様自身がもっと「家」を造る楽しさに触れられる。楽しむことでもっと新しい発想が生まれ、新たなご要望に対しても私たちが流動的に対応する。そんな、互いに発見や楽しさがある家造りをしたいという想いがこもっています。ただ当時はまだ設備工事がメインだったので、そうは言っても設備もイメージでき、かつもっと広い部分での建築を意味する名前にしようと流体計画に決まりました。
中井:会社ロゴの「画」の中には、「re」の文字が記されていますが、これはリサイクルの「re」を意味されてるんですよね?創業当時から「re」のイメージがあったんでしょうか?
山田(H):はい。物質的に豊かになったけれども、それは本当の“豊かさ”なんだろうか?という問いは自分の中にありました。精神的な豊かさの方がうんと価値があるんじゃないかと感じていました。古物商の免許を取得していたので手作りのもの、オーダーメイドのレアな家具やインテリアを見つけてきて、倉庫でオシャレなガラクタショップもやっていました。
心が豊かになる暮らしをコンセプトに「Relive(リライブ)」という名前、Your style in store now!あなたらしさ発売中!というキャッチフレーズで営業していました。
山田(T):当初はほんとに売れるのか半信半疑でとても不安でした(笑)。
中井:今もオフィスに併設してキッチングッズなどを販売されていますが、もうガラクタに見えるものはすっかりないようですね(笑)。
小野寺:ところで、何年前くらいから住宅の設計・施工を始められたのでしょうか?
山田(H):本格的に始めたのは7、8年前くらいからですね。プラグマさんと出会った2009年頃はまだまだ売上の半分以上が設備工事でした。
中井:そうでしたね。現在は、住宅の設計・施工事業が大半を占めていらっしゃいますが、どのように今のビジネスに転換されたんですか?
山田(H):なんか「コレや!」というものを持たな、と起業してから思っていました。家族経営時代からの事業を続けていましたが、何に特化するか、なかなか決断できずにいました。経営者として現状の売上は守りながら経営を維持していきたい。でもそろそろ何かに特化したい。そんな悶々とした時代もありましたね。
山田(T):違う業種もすごく探していましたね。試行錯誤の時期で、そうですね。暗黒時代でした(笑)。
HABITAとの出会い
山田(H):漠然とした住宅の理想のカタチは見えていたのですが、お客様に分かりやすい表現でアピールできずにいました。そんなときに出会ったのが、HABITAの200年住宅でした。この考え方を大事にしてお客様にアピールすることで、自社の見え方が格段に変わってきました。そこから徐々に住宅の設計・施行にメインの事業が転換していきました。お客様からの自社の見え方を意識した経営がこの頃から出来るようになったと思います。
中井:お客様にどう見せたいか、と主観をこちら側におきがちですが、お客様からの見え方を意識するという逆転の発想も経営には大事ですね。勉強になります。ではHABITAとの出会いはとても大きかったのですね。HABITAは、「家」を単なる器や機能として見るところから、「家」を人・歴史・文化・環境をも包含したコンセプトに昇華させていますね。とても、深みや広がりのある考え方だと思います。
山田(H):はい。また、お客様に「それは造れない」と言わない、うちの基本姿勢にもフィットしていました。その姿勢が理解されたからでしょうか、今年、株式会社リクルート住まいカンパニー スーモカウンター注文住宅から「初回打ち合わせ(商談)満足度」部門の金賞を受賞しました。
山田(T):いろいろな部門で様々な表彰があったのですが、弊社が頂いたのはお客様に直結する部分なので、なによりうれしく感じています。
山田(H):表彰式にも参加させていただき、今後の課題を含めいろんな気づきがありましたね。
中井:おめでとうございます!HABITAの採用や「造れない」と言わない基本姿勢を貫いてこられた結果ですね。では価格で相見積もりということも少ないのでしょうか?
見えてきた今後の夢
山田(H):いえ、やはり相見積もりもありますね。もっとウチらしさを打ち出す為に、いつかはHABITAというブランド名ではなく、自社ブランドに挑戦してみたいですね。自分たちのやっていることが正しい基準と価格であることを伝えていけるかどうかですね。
建築業界は担当者によって値段が全然違うなんてことがまだまだあります。自動車産業のようなユーザーにとっても分かりやすい「標準化」がこの業界でも必要なんです。
中井:ではそれが今後の課題ですね。
山田(H):「家」に対していちばん熱意があるのはお客様です。私たちはお客様の通訳として、存在し続けたい。お客様の夢の形を建築用語に置き換えて、適正な金額で発注する。日本の建築業界では特に今その力量が問われていると強く感じています。各業者がいくら欲しいかを並べた見積もりではなく、ある程度レディーメイドされているのにお客様にとってはオーダーメイド的である家造りをどう進めていくか、がテーマですね。
中井:なるほど、私たちの会計の業界でも同じようなことが言えます。
山田(H):IKEAなどの海外の家具販売店も入ってきたことで、予算的に手が届く範囲で、お客様も自分の家を自分たちで形にすることができるんだ、という意識がここ何年かですごく芽生えていると感じています。
中井:お話を伺っていると、御社の方針とお客さまのスタイルがマッチしてきていることを感じます。ところで、モデルハウス用地を取得されたとのことですが・・・。
山田(H):胡麻(京都市から北西に車で1時間ぐらいの田園と山里の風景がひろがる場所です。)という場所に土地を購入し、そこにモデルハウスを造る計画をしています。
ただ造るのではなく、いままでの当社のお客様をネットワークし、イベントに参加される方を募って、みんなでいろいろなことをしてみたいと思っています。
初年度は家づくり、2年目は大人向けの露天風呂と子どものプール、3年目はピザ釜、4年目は藤棚・・・という具合に(笑)。みんな作ったことがないでしょうし、大勢でわいわいやりながら作るのは、わくわくする体験になると思うんです。そんな、ライフスタイルの提案をするようなイベントを、毎年していきたいなと考えています。
もちろん、そういった取組みは、Facebookをはじめとした様々な広報チャネルで公開していきます。結果的に、それがうちで夢のマイホームを建てたいという想いにつながるような仕掛けにしていきたいですね。
そしていずれは、そのモデルハウスの管理人を私たち二人でしたいと思っています。
中井:未来会計の中期事業計画のゴールが「管理人になる!」でしたね。
山田(H):はい。10年以上ボランティアを続けていますが(ボランティア内容については山田様のブログをご覧ください。http://ecogeo.blog87.fc2.com/blog-category-2.html)、人に喜んでもらうことの積み重ねで評価してもらうのは何ものにも代え難い喜びがあります。この喜びを仕事でも味わえたらすごいモチベーションにつながると思うんです。仕事とボランティアを別に考える人が多いですが、それを高い次元でつなげたろう!って思っています。
大ファンです!
中井:最後にプラグマについてお話を聞かせてください。2009年からのおつき合いになりますが、京都と東京との距離に不安を感じたことはありませんか?また私たちのサービスはご満足いただけていますか?
山田(H):距離について不安を感じたことは全くないです。満足していますし、すごく触発されて勉強させていただいています。女性のワークライフバランスをまさに実現されている。本業をきちんとされながら、社会への問題提起とその実現をされている。
大ファンです。大好きな会社ですし、目標にしています。ベトナムのVBPO社に業務の一部を委託するチャレンジもすごいと思いました。私が海外へ挑戦しようと思ったのも、プラグマさんの影響が大きいです。
中井:ありがとうございます。本当にわれわれの責任は重大だなと、身が引き締まる思いです。とも子さんはいかがでしょう?経理を実際担当されていて何かお困りのことなどございませんか?
山田(T):いえ、私たちの事業内容やコンセプトも深く理解していただいてるので、安心してお任せしています。
山田(H):未来会計の取組みもすばらしいですね。過去会計よりこっちの方がむしろ大事だなとすごく思います。今12期ですが、当初業績が順調ではなかった頃、決算書の見方もよくわからず気づいた時には結構めちゃくちゃな数字が並んでいたのですが、ようやく軌道に乗りちゃんとしてきたように思えます。これからは、カッコいい数字が並んだカッコいい決算書になるよう未来会計を行いながら目指していきたいですね。
中井:ちゃんとした会社からカッコいい会社にしたい。われわれもその面ではお客様の通訳ですから、いっしょに実現していきたいと思います。何かプラグマへのご要望などありましたらお願いします。
山田(H):無理くりひとつあげるとしたら、めちゃめちゃ敬意を払ってくれるんですけど、もう一歩踏み込んでくれたらまた違うのかなと思いました。堀口さん(プラグマ代表取締役社長)は切り込み上手ですよね(笑)。特に未来会計ではもっともっと突っ込んだ議論ができるようになりたいですね。
中井:承知しました。堀口の得意分野ですからね。御社のことをもっと深く知り、考え、大胆に切り込んでいきたいと思います。本日はお忙しい中本当にありがとうございました。
インタビューを終えて
家づくりが大好きで、人に喜んでもらうことも大好き、そしてなにより、家族が大好きな山田社長。いろいろなお話を、いつも、ほんとうに優しい目で愉しそうにしてくださいます。でも、曲がったこと、当たり前ではないことは、許さない。一瞬の厳しい表情からは、いままで重ねてこられたご苦労の数々や人生に対する覚悟が感じられます。そんな社長を文字どおり公私ともに支えていらっしゃるとも子さん。いつも、はらはらしつつ寄り添い、でも言うときは、言う。お二人で、流体計画様の盤石な基礎となっています。トップの写真は、私たちがお持ちした「倍返し饅頭」を手にご満悦の「伏見の美女と野獣(すいません。)」ではなく、山田ご夫妻です。社長は半沢直樹の大ファン。旧態然とした慣習の残る業界において、大事な大事な買い物をするお客様の通訳として、当たり前のことをやり通していらっしゃいます。カッコいい会社のカッコいい会計。全力でお手伝いしたいと改めて感じる時間でした。(中井)
流体計画 様にご利用頂いているサービス
「経理アウトソーシングサービス」「未来会計サービス」をご利用頂き、記帳入力の月次業務から決算・税務申告の年次業務までの、経理で必須とされる業務はもちろん、経営者の方とともに未来を語り、将来像としての事業計画を立案し、実行のお手伝い(モニタリング)をするサービスをご提供させて頂いています。
京都と東京と場所が離れているため、年に数回は実際にお会いするとともに、毎月スカイプで会議を行い、ご報告やご提案を行ったり、お話を伺っています。
流体計画 様企業プロフィール
[会社名]
流体計画 株式会社(HP : http://ryutai.jp/index.html)
[所在地]
〒612-8363
京都府京都市伏見区納屋町141
[TEL] 075-602-3533
[FAX] 075-602-3534
[Mail] info@ryutai.jp
[設立年月日]
1998年(平成10年)08月
[資本金]
2,400万円
[代表者]
代表取締役 山田英樹
[従業員数]
社員数 10人 (平成24年01月現在)
[事業内容]
・新築・リフォーム工事/設計・施工
・店舗・商業施設コンサルティング/設計・施工
・ショールーム「リライブ」運営
・建築工事 許可(般-19)第34517号
・給排水衛生空調設備工事
・省エネ・太陽光発電設備工事
・IKEAキッチン正規取扱い
[建設業許可]
古物商 京都府公安委員会 第611090230051号
管工事業 許可(般-19)第34517号