流れに身を任す 流れを生み出す 水は永遠の恋人

「FUNプラグマ」の第10回目にご登壇いただくのは、水の利活用に欠かせない水道管、水の循環に欠かせない下水道管をはじめ、浸水や洪水、氾濫など自然の水の脅威からヒトと生活を守る構造物の解析や配置を設計している有限会社水都環境 代表取締役 長谷川 充さんです。2016年から未来会計で課題解決や目標達成のお手伝いをさせていただいています。私たちの生活に欠かせない「水」。蛇口をひねれば当たり前に出てくるその仕組みは、緻密かつ繊細に造り込まれた職人技の集大成でした。今回はその魅力に迫ると共に、長谷川さんご自身の軌跡やプラグマへの想いもご紹介いたします。

水の利活用に欠かせない水道管、水の循環に欠かせない下水道管

堀口:水に関わるお仕事は幅広くありますが、どのような事業を行われているか教えてください。

長谷川:公共インフラの中の水に特化した建設コンサルタントをしています。公共サービスを円滑に進める為、上下水道計画、雨水対策、河川、水工、上下水道のパイプシステム構築、水循環システムの設計などを行っています。

堀口:地域は全国各地でしょうか?

長谷川:はい、全国ですね。ベトナムなど海外も請け負っています。都市生活に欠かすことのできないライフラインとして、みなさまの日常生活や社会経済活動を支えています。特にマスタープラン(下水道マップ)の中の「パイプシステム」は、40万km以上で長い迷路のように地下に張り巡らされています。

堀口:当たり前のように使っている水ですが、それを支えているパイプシステムは緻密で繊細な設計と職人技の集大成だったんですね。起業されたきっかけは、そのパイプシステムの奥深さに興味を持たれたからだったのでしょうか?

長谷川そうですね。知れば知るほど疑問や課題が出てきて、どんどんのめり込んでいきました。独立前は下水道管の詳細設計を請け負う会社にいましたが、水の仕事に関わり続けたかったので水の循環や水に関わる仕事で必要な知識や経験を広げていきたいと思い、起業を決意しました。

堀口:もともと起業願望はお持ちだったのですか?

長谷川:20歳でこの業界に入った頃から、独立志望でした。今は電子機器なども必要になりましたが、当時はペンと定規くらいで設備投資がほとんどいらず、暖簾分けのような形で起業しやすい業界なこともあり、いつかは独立しようと思っていましたね。

堀口:独立を希望されていたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

長谷川
当時は独立をすれば、お金も時間も自分の自由に使えるのでは?という甘い考えからでした(笑)。妻と結婚する前に将来計画を口頭で伝えたことで、少し現実味を帯びてきましたね。



堀口
:これはぜひ未来会計の中期計画に盛りこみましょう(笑)。

水との出会い

中井:水に興味を持たれたきっかけは、何だったのでしょうか?

長谷川:当時夜間学校に通っていたのですが、終わると必ず飲みに行っていたんです。バイクもとても流行っていた時代で。バイクや飲みに行くためのお金を稼ぐために、通学途中にあった池袋の会社を受けたのがきっかけです。

堀口:どうしてその会社にしたんですか?

長谷川:当時はバンドをやっていたこともあり、長髪、ロッカースタイルで面接に行き雇ってくれたのがそこの会社しかなかったんです(笑)。次の日からマンホールを開けて、調べるという生活がスタートしました。やってみるとそれがとっても楽しかった!まさに下水との出会いです。決して美しい水ではない使い古しの水が、どこを通ってどうやってきれいな水になるのか興味が湧いてきました。そのうち処理場などに行くようになり、目の前できれいになる水を見た時感動したのを今でも覚えています。この時に出会ったのが、水とは切っても切れない関係の「微生物」。自然の偉大さを痛感しましたね。純粋に好奇心を掻き立てられた。知らないものを見に行くのが元々好きなこともあり、仕事をしながらあちこち見て回りました。

堀口:趣味の為のバイトから、そこまで情熱を注げる水との出会いはまさに運命ですね。長谷川さんにとって水とはどんな存在ですか?

長谷川:例えるならば、「恋人」ですね。追いかけても、追いかけても手に入らない。まだ知らない部分がたくさんあると思います。

日本から海外へ

堀口:日本での経験や知見を活かして海外でもお仕事をされていますが、日本との違いは感じられますか?

長谷川:日本にいると気づかないかもしれませんが、海外の水事情はまだまだよくない地域もあります。先進国を除く地域では、水はそのまま飲むものではなく加工して飲むものだという認識がまだまだ根強いです。水道水が飲める地域は、本当に限られています。世界の人口約74億に対して、安全な水が手に入らない人がたくさんいます。水を運ぶ仕事に時間を費やしていて、女性や子供が勉強できない。そのサイクルを断ち切って、違った選択肢を持たせてあげたいという想いから積極的に活動しています。

堀口:エリアはどのエリアが多いのでしょうか?

長谷川:現在はアジアが多いですね。砂漠の方にも行ってみたいです。

堀口:ベトナムにも行かれていましたね。どのようなきっかけで行かれたのでしょうか?

長谷川
はい、ベトナムのハノイに行っていました。街の中心地に大きな湖があるんです。地元では「神様の池」と呼ばれ、愛されていました。しかし見てみると、抹茶みたいな真緑色で驚きました。明らかに富栄養化が進んでいる状態。窒素(N)やリン(P)は陸上では植物の重要な栄養素ですが、湖や海に過度に流れ込むと植物プランクトンが増え、さらにひどくなると異常繁殖によって湖や海の色が変わる現象が引き起こされます。ハノイもその状態がかなり深刻でした。このままでは生態系が乱れ、伝染病が流行してしまいます。そこでODA(政府開発援助)(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/)が活動を始め、だいぶ以前に取引させていただいたお客様から突然の声掛けでハノイ行きが決まりました。

堀口:現地に入られてからは、どのようなステップで進められるのでしょうか?

長谷川:富栄養化が進んだ水をどう集めて、浄水センターをどこに設置するか。マスタープランを考えるところから始めました。次のステップは実行計画の為の調査です。本当に実行可能かを検証し、レポートを提出して帰国しました。

中井:どのくらいの期間滞在されましたか?

長谷川:1年間に3回行きました。1回の滞在期間は、1ヶ月程度。現地スタッフとサッカーをしたりご飯を食べたり、現地の人との交流も海外の仕事の醍醐味ですね。

堀口:スリランカにも行かれているとか?

長谷川:はい。スリランカは、今すごく成長しています。今行っているのは、コロンボという地域。首都ではないですが、今すごく発展しています。そのため人口の集中が進んでいますが、水の供給がついていっていない状況で、また富栄養化が進んでいます。すでに小さいプロジェクトは動きつつありますが、大きなマスタープランはない状況です。JICAや現地の日系開発会社と協働で動くための準備を進めています。

中井:今回は長谷川さん自らが動かれているんですね!

長谷川:そうですね。今まではプロジェクトの一団体として活動することが多かったですが、スリランカに関しては私たちが主導で動けるように準備を進めています。できるかどうかまだ自信はないですが、挑戦したいですね。

中井:海外で事業を進める際の業界的リスクは感じられますか?

長谷川:海外の自治体や国と直接やりとりするのはリスクが大きいと思います。JICAなどとの協働が常にキーになってきますね。最長5年ほどかかるプロジェクトもありますから、人件費の支払いができないとあっという間に倒産まで追い詰められてしまうケースも少なくありません。慎重に進めつつも、積極的に取り組んでいこうと思っています。

男のロマン?ロボット開発

堀口:海外事業など新しい取り組みが続いていますね。新しい取り組みというと、「ロボット開発」も進められているとか?

長谷川:設計の青写真までは進みました(笑)。協力してくださる方もいらっしゃるのですが、なかなか思い描くスピードでは進んでいない状況です。

堀口:ロボット開発をしようと思ったのは、なぜでしょうか?

長谷川:水について起こる様々な課題。それが何に起因しているのか。それを解明するにはもっと丁寧な現状調査が不可欠だと思ったからです。地下のパイプは設計図が一応ありますが、実際それ通りでないところもたくさんあるのが現状です。そこで今はどのように現調しているかというと、「実際に掘ってみる」か「レーダー探査機で調べる」のどちらかで行っています。しかし、国内だけでも40万kmあるパイプのストックをこのどちらかで迅速にかつ精密に調査するのは、不可能です。 この課題に挑戦したいですね。

武石:CADなど設計の技術が進む中で、調査はまだまだアナログなのですね。

長谷川:そうですね。いろんなパイプがいろんな深さで入り組んでいますからね。この課題に挑戦することは、会社の行動規範でもある「問題を先送りにするな、前例を最適とするな」を自らが体現し、社員に意識付けられる機会とも考えています。2015年に米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者チームからも発表されました「魚型ロボット」をご存知ですか?

中井:はい、医療用などですでに需要があり、体内を泳いで、毒素など取り除いてくれるとか?

長谷川:はい、それと同じ構想で地下のパイプも正確に現調できるロボット開発を進めています。これで今まで手探りだった多くのパイプを調べることができ、また何億円というそれにかかっている経費が節減できます。需要があることは間違いないので、ぜひこの研究と開発は続けていきたいですね。

 

経営を見つめ直した「経営計画発表会」


(オフィスに入ると行動規範が飾られています)

堀口:画期的なツールになることは間違いないですね。経営者として、社員の方への想いを伺ったところで、経営についてお話を伺いたいと思います。 長谷川さんとは、経営者のための知的サポートネットワーク「スモールサン」(http://www.smallsun.jp/?p=6)が主催する経営者の勉強会でお会いしましたね。長谷川さんは出会った当初から、緻密に過去の決算分析をされていて、その分析についてたくさん質問されていたのがとても印象的でした。

長谷川:起業して6期か7期の時、実は倒産寸前まで追い込まれたことがありました。そこに至る経緯を振り返ると、明らかに「慢心」。そんな時に出会ったのが、スモールサン主宰者で立教大学名誉教授でもある山口義行教授でした。経営を一から学び直して、出費をできる限り圧縮しました。プラグマさんの未来会計も始めて、管理会計を取り入れたことで経営が面白くなったし会社も変わっていくのが実感できましたね。

堀口:出会った時から未来のビジョンを強く持たれていましたが、プラグマの未来会計を通じてより具体的に実行するためのスタートを踏み出せたように感じます。そして社員のみなさんに初めてそれを発表した「経営計画発表会」は今でも鮮明に覚えています。

長谷川:10周年という節目でもあり、何か変えたい気持ちから行いました。試行錯誤の繰り返しですね。頭に想っていることを、「見える化」してみんなに発表していく。そういう潮流が出てきたきっかけがこの発表会でした。それまでは「なんでわかってくれないんだよ」という経営者が孤立する典型のようなところがありましたが、こうしたアウトプットの機会を意識的に持つことは経営者にとってすごく大事なことだと感じています

堀口:どんな会社にしたいと伝えていらっしゃるんですか?

長谷川元気で笑顔が溢れる会社にしたい!ひとりひとりがやりがいや目標をもって、それに活き活きと取り組んでいる。私も含めてもっと頑張ろうとお互いが切磋琢磨し合えたらいいですね。

堀口:長谷川さんの目標へ向けたチャレンジに私自身もいつも刺激をいただいています。チャレンジといえば、専門学校の講師を務められているとか?

長谷川:CADという製図ソフトの使い方を土木造園科の生徒のみなさんに講義しています。今年で5年になりますね。作図だけでなく、CADはツールであってそれを上手に使えば未来はもっと開けるということを生徒たちに伝えたいと思い始めました。今の若者に響く声掛けや接し方などこちらが学ぶこともたくさんあって楽しいです。

プラグマの未来会計

中井:未来会計のお話が出たので、ここでプラグマについてお聞きしてもよろしいでしょうか?

長谷川:自社に他社の方が入ってもらうのは初めての経験なので、スタンダードがわかりませんが、私はとても心強いです。ただ社員がどう思っているかは、また別だと思っています。また社長が何か始めたとも思っているかもしれない。今年2年目を迎える未来会計。去年一緒に育てた蕾がどう花開くかを社員達と体感するのが今から楽しみであり、とても期待しています。

堀口ご期待に応えられるように、引き続き丁寧に取り組みます。プラグマスタッフの印象はいかがでしょうか?

長谷川スナックにいるママさんと話すような(笑)、話しやすさがありますね。安心感というか。忙しくなればなるほど経営者は孤独になりがちですが、ふっと話を聞いてもらえ心も頭も軽くスッキリとさせてくれます。

堀口:2年目以降、未来会計で他に実現されたいことはありますか?

長谷川:今一番欲しいのは時間。まだまだ上手に時間を使えていないので、その辺をコーチングしていただきながら、遅れている夢をひとつずつ実現していきたいです。

趣味は3つの「B」

堀口:はい、ぜひお手伝いさせてください。最後に豊かな趣味のお話をぜひ聞かせてください。

長谷川趣味は、「B」が3つでして(笑)、
Band
Bike
Baseball です。バンドはヘビメタをやっています(笑)。ヘビメタのルーツは実はクラシックなんですよ。コードの展開などは近いものがあります。高校時代からバンドは続けていて、ライブも継続しています。

堀口:バイクは?

長谷川:大学に入って免許をとって、「スピード」をとにかく追求していました。

堀口:もしかして今もですか?

長谷川
いえ、今はヨーロピアンスタイルのゆったり乗れるバイクで走っています。On the railsですね。「無」になれる大事な時間です。

中井:野球はプレーもされているんですか?

長谷川:バイクサークルのメンバーが草野球を始めて一緒にプレーしていました。今は辞めてしまいましたが、息子がその影響で野球を始めて、去年まで息子のチームの監督をさせていただきました。今は事務局をさせていただいています。

堀口:趣味にも情熱を注がれるのは、お仕事にも何か関係があるのでしょうか?

長谷川:意識的に関係を持たせようとはしていませんが、結果的にはあると思います。野球の監督で子供達に真剣に話を聞いてもらうためのスキルは、専門学校や若手の社員とコミュニケーションをとるときに役立っています。バンドも「合わせる」という部分で、人と人がピタッとお互いに「合った!」と共感できるあの感覚は、仕事で社員といろんな苦労を乗り越えて無事に納品できた時の感覚とすごく似ています。その感覚を自分が掴んでいると相手にも伝えやすいし、仕事が進めやすいと思います。バイクは〜。完全にリフレッシュですね(笑)。

堀口:プライベートでもお仕事でもまだまだこれから新しい挑戦が続きそうですね!夢の扉を開くお手伝いがこれからもできるよう、プラグマも寄り添っていきたいと思います。本日は貴重なお時間をありがとうございました。