しなやかに社会へ羽ばたけ女性たち

「FUNプラグマ」の第8回目にご登壇いただくのは、組織の「女性活躍推進」をコンサルティング、研修、講演等お客様に合ったサービスでサポートする株式会社CHANCE for ONE 代表取締役社長 清水 レナさんです。結婚や出産などライフイベントの多い女性のキャリア開発にいち早く取り組まれてきました。今年、組織に女性活躍推進を浸透させるための著書「輝く会社のための女性活躍推進ハンドブック」を出版され、また、東洋経済オンラインにて女性活躍推進課題について連載をスタートされるなど業界の牽引役としても活躍されています。「女性」といえば、プラグマも創業当時から女性が中心となって会社を支えてきました。今回は女性が多い組織のマネジメントに長年携わってきた堀口ならではの質問も飛び交い、真の意味での「女性活躍推進」に深く切り込むインタビューとなりました。

チャレンジ精神溢れる身近な女性たち




堀口
:今回はご登壇ありがとうございます。レナさんファンの私なので(笑)、質問盛りだくさんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

清水:こちらこそ。プラグマさんのように女性が活躍できる組織のエッセンスを探っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


堀口:まず興味深かったのがレナさんの書かれた著書「輝く会社のための女性活躍推進ハンドブック」(右写真にて紹介)で紹介されていたレナさんの生い立ちについてです。お祖母様をはじめ親類の女性の方々がみなさまチャレンジ精神に溢れ、パワフルに働かれていたということですが、やはりそのような環境で育ったことも「女性が働くこと」について強く意識されるきっかけになったのでしょうか?


清水:はい、父方の祖母は看護師でしたし、母も私が小学生の時に金融機関の営業ウーマンとして社会復帰していました。叔母も国際結婚で渡米しニューメキシコ州のオフィスで働いておりました。時代に左右されず自分のやりたいこと、やるべきことに挑戦し続ける姿勢は、私の生き方のルーツとなっていると思います。


堀口:その当時から女性が社会で活躍されているのはとても珍しいことですね。レナさんもまさに「女性活躍推進」のオピニオンリーダーとしても活躍されていますが、子供の頃から女性の働く意義を感じられていたところから、今の活動にフォーカスされるまでの流れを聞かせていただけますか?

進学で感じたジェンダーギャップ

清水:子供の時から学級委員長などリーダー的なポジションにやりがいを感じるタイプでした。何か課題を見つけて、それを改善するために周りを巻き込んでいくのが得意で、高校生になるまでクラスや学年の中心となって引っ張っていくような女の子でしたね。しかし進学を考える時期に初めてジェンダーギャップにぶち当たりました。男子で優秀な人は四年制の大学に進学するにも関わらず、女子は優秀な人ほど短期大学へ進学する風潮がまだ残っている時代でした。短期大学への進学の方が、就職や結婚などの人生のライフイベントに優位という、今では考えられない時代でした。娘の幸せを考えたのか、両親からも短期大学への進学を勧められて納得できないながらも、この時は短期大学への進学を決めました。

堀口:そうでしたね。私も同じようなことを親族から言われたのを今でもよく覚えています。

清水:この頃から、どうして女性だけが決められた道を歩まなくてはいけないのか、私も男性に負けないくらい働きたい、でも、こんなことを言っていたら私は結婚できないのだろうか、といった女性を取り巻く社会へのいろんな疑問が湧いてきました。

堀口:著書のあとがきからもそんな葛藤が伝わりました。普通の人であれば、社会人になり、初めて女性が感じる想いを十代の頃から感じられていたんですね。

清水:はい、明治大学短期大学経済学科へ入学したものの一度生じた違和感を消すことはできず、入学と同時に四年制大学へ編入できるよう受験勉強を始めました(笑)。

キャリアデザインプロジェクトとの出会い

堀口:編入先はどうして立命館大学を選ばれたのでしょうか?

清水:明治大学への編入も考えましたが、自分の地縁とは全く関係のない場所で新たなチャレンジをし、自分を試したいという強い気持ちから立命館大学経済学部の指定校推薦への応募を決めました。

堀口:すごい倍率だったんじゃないですか?

清水:35倍だったそうです。後から先生方に選考理由について聞いたところ、みなさん口をそろえて「とにかくパッションがすごかった」と。情熱と最後までやり抜くタフさという、かなり体育会系の理由ではありましたが、人のネットワークも学ぶ環境もゼロからのスタートで、その二つの大切さが身にしみました。指定校推薦で入学している経緯もあり、明治大学を代表して自分はここに来ているという使命感が強くありました。代表としてふさわしい立ち振る舞いをしようと必死でしたね。

堀口:やはりこの時から自分の立ち位置を意識して、常に未来を見据えるレナさんの生き方が現れていますね。

清水:ゴールを常に意識して、必要なプロセスはなにか、今はどの位置にいるのか考えるタイプですね。

堀口:実は、その、常に未来を見据える姿こそ、私の憧れなんです。では「立命館大学経済学部女子就職問題研究プロジェクト(現:キャリアデザインプロジェクト)(以下:キャリアデザインプロジェクト)」も偶然ではなく、ご自身で切り開かれたのでしょうか?

清水:初日に大学の事務室に挨拶に言き、学生生活のアドバイスをしてくれるような方がいないか伺ったところ経済学部の学生委員長を紹介してくださいました。実はそこで出会った友人たちが立ち上げたのが、キャリアデザインプロジェクトで、私にも一緒に活動してほしいと声を掛けていただき、活動に参加することになりました。なので、出会いは自らアクションを起こしましたが、プロジェクトへの参加は嬉しい誤算でした。

武石:プロジェクトは何名くらいで活動されていたのでしょうか?

清水:女子20名くらいで活動していました。今まで抱えていた想いを払拭するかのように活動に没頭し、女子大生の就職活動の実態調査や就職に対する意識調査などを通して「女性のキャリア」について学びました。ちょうど1995年前後は、四年制大学卒業の女子大生を取り巻く就職環境がとても悪く、社会問題になっているときでした。それに追い打ちをかけるように阪神淡路大震災が起き、企業はさらに不況に陥り、学生自身も就職活動どころではないような状態で、過去に例をみないほど女子大生の就職が難しい時期でした。そうした状況下での女子大生の奮闘を丁寧に取材していくうちに、社会にこの現状を広く伝えたいと考えるようになっていました。そんな大学4回生の時、活動中に出会った先生の推薦で、女子大生の就職奮戦をテーマにした本「上を向いてまわろう−女子学生就職奮戦記」(ほうしょう出版)をプロジェクトの友人と共著で出版する機会をいただきました。最初は驚きましたが、これはチャンスだと全国へ調査に赴き、女子大生たちのリアルなエピソードと想いを綴りました。

堀口:大学時代にこのような活動に打ち込まれるのは珍しいですよね。バイトやサークル活動が中心で将来のことに目を向けるのは就職活動が始まってからという人が多い中で、判断に迷わずブレない姿勢はさすがだと思いました。なにかご自身で意識されていること、心掛けていることはありますか?

清水:実は棚ぼたみたいなものはひとつもなくて、自分の中ではいつも潜在意識の中であらゆる可能性を模索し、かなり具体的に日々妄想をすることで、チャンスを逃さないようにしています。

女性活躍推進の事業化へ

中井:女性活躍についても長い構想(妄想?)期間があったんですね。では女性活躍を仕事にすることを意識されたのはいつ頃でしょうか?

清水:個人事業主として独立したのが2010年でその時はまだぼんやりとした状態でした。「社会貢献」、「人の成長に関わること」、「女性」いくつかのキーワードはありましたがそれをどう事業化するか2年くらい悩みましたね。自分にしかできないことを本気でやろう。今までのキャリアをもう一度ひとつひとつ丁寧に見つめ直しました。そこでたどり着いたのが、やはり「女性」でした。働く女性をもっと応援したい、ようやく具体的な事業が見えてきました。そして2012年CHANCE for ONEの起業にいたりました。

堀口: 現在、企業向けと、社会人向けと、学校法人向けの3本柱でサービスを提供されていますが、メインの事業はどちらになりますか?

清水:事業のメインはやはり企業向けサービスですね。2015年8月に企業に女性登用を促す新たな法律「女性活躍推進法」が成立した以降、各企業様からのご相談が非常に増えています。

中井:やはりコンサルティングが中心になってくるのでしょうか?

清水:そうですね。ご相談をいただいたお客様とは、コンサルティングから始まり、教育、研修、経営のアドバイスと、全体を通して深くお付き合いさせていただくことが多いですね。

堀口:大手企業の取組みはメディアでも報道されていますが、中小企業ですと女性活躍推進について動き出しているという実感がまだまだ低い部分もありますが、社会全体が大きく動き出されている実感はありますか?

清水:まず2020年までに女性管理職比率を30%に高める目標「2030」自体は、2003年に決められた目標です。これが2013年に安倍政権でフォーカスされてから、注目されるようになりました。そして今回の法案成立で、今まで経験したことのないようなスピードと大きさで動いている実感があります。

堀口:まさに時流に乗ったサービスを展開されていますね。レナさんの書かれている本や以前連載されていた東洋経済オンラインで私が特に印象深かったのは、女性活躍推進の3つの基盤(インフラストラクチャー)である「採用レベル」「定着レベル」「登用レベル」の内「登用レベル」の部分です。「2030」の目標に対し、登用レベルに達している女性の母数がそもそも少ないこと。そしてその女性達の中には少なからず、管理職になることを望んでいないケースがあること。今まで企業側の制度や環境面での問題ばかりに目を向けていましたが、それだけでは女性活躍推進は成功しないと、私自身も身を持って経験していたのでとても勉強になりました。

清水:ありがとうございます。そうですね、やはり女性活躍推進は「意識(本人の昇進意欲を醸成する)」「制度(時間的な制約条件に配慮する仕組みや制度を作る)」「機会(管理職に必要な経験を積む、成長の機会を作る)」の3つがバランスよく整わないと成り立たないと様々な企業様を見て、強く感じています。それぞれの企業様ごとにどの領域が強く、どの領域が弱いかは異なりますので、現状把握、課題分析の部分はとても大事になります。

堀口:中小企業は報告義務もなく、あまり自分ごとになっていない部分が正直ありました。しかし、少子高齢化が進み各業界で人材不足の声が聞こえる中、わが社も他人事では済まされないと感じています。プラグマでも改めて取組みを見直したいと思います。

中井:女性活躍推進で国が行っている政策について、感じられていることなどはありますか?

清水:女性活躍推進法についてはまだ万全ではないと考えています。企業の女性登用に関する数値の公表や計画策定の義務は決定したものの、最低限守られるべき基準が定まっていません。また優良企業の表彰などは行われる予定ですが、取り組みに前向きでない企業への働きかけについては具体的に決まっていないのが現状です。欧米の制度も参考にしつつ、日本ならではの活躍推進制度ができることを期待していますし、私自身もその一助となるよう努力を続けたいと思います。

経済的にも精神的にも自立する女性へ

堀口:今後働く女性にはいろんな変化や決断が待ち受けていると思います。今回の政策で日本女性に新たなパラダイムが求められていると感じますが、レナさんから女性のみなさまにメッセージをお願いします。

清水:学生時代からたくさんの女性達と接し、話を聞いてきました。その中で私が確信していることがふたつあります。一つ目はライフイベントが多く家庭の切り盛りを任されることがまだまだ多い女性ですが、本人のスイッチ次第で自由自在に変化する潜在能力の高さです。二つ目は管理職としての素養は女性も十分に持っているということです。女性の持つ面倒見の良さや愛情の深さは、よい組織を作る最大の武器です。やってみると案外すんなりと出来てしまうし、管理職としての評価も高い女性が多いです。これからの時代、経済的にも精神的にも女性が自立していることが、ご自身の幸せにもつながると思います。なので、自分の限界を決めず若いうちからなんでもチャレンジし、キャリアが広がるチャンスを逃さないで欲しいですね。

堀口:女性の自立はご主人とのいいパートナーシップにもつながりますね。支え合うのは互いに自立しているもの同士にしかできないこと。プラグマもほとんどのスタッフが主婦の顔も持っています。ライフデザインとキャリアデザインを切り離さず、バランスを考えながら両方を意識しているスタッフは時間の使い方も仕事もスマートだと感じていました。では少し聞くのが恐い気もしますが…(笑)。プラグマの印象についてもお伺いしてもよろしいでしょうか?

プラグマはユニーク!?


(ご紹介いただいたプラグマ水)

清水:まずお伝えしたいのが、代表者はじめみなさま真面目で地に足がしっかりとついている安心感です。今回のインタビューでのやりとりや受付のウェルカムボード、来客応対時に提供されているプラグマ水(写真)、ひとつひとつにその姿勢が組織として体現されていると思います。ユニークなところではやはり、スタッフが中井さん以外みなさま女性ということですね。外から見るとそのユニーク性をもっと出していってもいいのかなと感じます

堀口:ありがとうございます。女性スタッフが中心となって活躍してくれていることについては、私自身も今同じように感じています。

清水:全員女性でどうやって成り立っているのか、制度とか機会で工夫されていることは何かなど、他社さまもとても興味があると思いますので、ぜひアウトプットしていただきたいです。それから、恵子さんには女性向け独立起業スクール「ミナジョ」の講師ということで、講義を受け持っていただいています。受講生のみなさんから「会計、経理の話は自分には遠い存在で難しいと思っていたけれども、恵子さんのソフトで聞きやすい語り口調や質問しやすい雰囲気作り、質問に対する回答が的確で分かりやすい」と、大変好評をいただいています。受講生の方が描かれている典型的な女性社長のイメージと恵子さんは違う印象で、驚きと感謝の言葉が毎回聞かれます。

堀口:受講生の方にそう思っていただけて、大変嬉しく思います。また、レナさんにもアドバイス頂いたように、プラグマでは当たり前と思っている制度や仕組みについて、アウトプットも積極的に取り組んでいきたいと思います。

スケジューリングの秘訣は「対」(つい)

武石:企業様の深部に迫る非常にデリケートなお仕事をされていますが、最後にますます多忙を極めているレナさんのリフレッシュ法を教えてください。

清水:いっぱいありますよ(笑)。たくさんあるので全部を紹介するのは控えますが、疲れを溜めないようにスケジューリングで心がけていることがあります。まず「頭」をたくさん使うスケジュールが入っているときは、「体」を使うスケジュールもたくさん入れるようにしています。頭の疲労と体の疲労を同じくらいにすることでバランスを取っています。頭については右脳と左脳の使い方のバランスも意識します。

中井:すでにハードなスケジュールの時に、予定を減らすのではなく増やすんですか(驚)。時間は足りなくなりませんか?

清水:足りないんですけど(笑)。昔は体を壊したこともありましたが、ようやく私なりの良いやり方をみつけました。加圧トレーニングかパーソナルトレーニング、整体、骨盤矯正、ベランダガーデニング、料理、旅行、リサーチを兼ねた街の散策など、タイプの違う行動で週のスケジュールを組むことがリフレッシュと集中を好循環させてくれます。

堀口:プライベートもレナさんらしさが満載ですね(笑)。会うたびに新しい気づきと学びをいただけます。今回は私自身の思考の整理にもつながりました。女性活躍推進ならプラグマと紹介していただけるような企業をこれからも目指したいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。